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Tokyo Stillness
See Tokyo, differently.

History, Culture & Artisans 2026.06.12

バルコニーの先に降りていく。オリンピック跡地で過ごす東京の半日

執筆:松井直之(編集部)
写真: ライブドアアーバンスポーツパーク提供

ヒルトン東京お台場に滞在していると、客室のバルコニーから見える東京の空の大きさに気づきます。その東側の景色の先には、同じ湾岸エリアでも大きく変貌を遂げた有明地区の風景が思い浮かびます――ライブドアアーバンスポーツパークです。東京2020オリンピック・パラリンピックの舞台となったこの場所は、祝祭の熱が過ぎたあと、日常のなかに静かに開かれました。バルコニーから眺めていた風景の足元へ、実際に降りていく。その時間が、東京滞在のリズムをゆるやかに整えていきます。

オリンピックの祝祭が残した、都市の余白

2020年、世界中の視線がここに集まりました。スケートボードとBMX――新しい時代の競技が繰り広げられたあの舞台は、大会後に閉ざされることなく、誰もが自由に使える都市のフィールドとして開かれています。オリンピックのレガシーという言葉だけでは収まりきらず、単なる公園とも少し違う。そのどちらにも収まりきらないところに、この場所の独自性があります。

公園と決定的に違うのは、景色の中に“挑戦している時間”が溶け込んでいることです。滑る音、踏み込みのリズム、短い声。ここは「見るべきもの」を消費する場所ではなく、誰かが練習し、試し、失敗し、もう一度やり直す、その反復が日常として見える場所です。
ここでは、観光として風景を消費するのではなく、日常として時間が流れている。その違いが、この場所の空気を決定づけています。

特徴的なのは、そのスケール感。23区内では貴重な、視界をさえぎるもののない広がり。隣接する有明テニスの森、その先の海岸線へと景色が連続していきます。ここでは、光と風の流れ方が、都心とはまったく違う。時間の感覚までが、ゆるやかにほどけていくようです。競技のためでも、観光のためでもない。あたらしい種類の余白が、ここにはあります。

景色の主役は、そこに生きる人たち

平日の夕方、陽が低くなりはじめる頃。スケートボードやボルダリング、3×3バスケットボールの練習に、人々が集まってきます。日本代表クラスのアスリートが、ごくあたりまえの表情でそこにいる。競技を観る場所というより、練習や挑戦の時間を共有する場所。そんな言い方がしっくりきます。

スケートボードやBMXのエリアは立体的な造形が視界に入り、動きがそのまま風景になります。

3×3のコートではボールの音が乾いて響く。ボルダリングもまた、体の使い方そのものが見えてくる競技で、見ているだけで背筋が少し伸びる。スポーツを「する人」と「眺める人」が、同じ場所を自然に共有できる設計が、このパークの面白さです。
 
週末になると、景色の主役は入れ替わります。子どもがアスレチックを駆け抜け、大人はフードモールで食事を囲む。犬と散歩する人、ゆっくり走る人、パラソルの下でコーヒーを飲む人。「誰かが何かをしている景色」が幾重にも重なっていく――訪れる人の数だけ、過ごし方がある場所です。

「予定を詰めない」という、都市の贅沢

ここには、観光地のように見るべきものが決まっているわけではありません。ピックルボールを試してもいいし、ベンチに座って、スケーターの滑る音に耳を澄ませていてもいい。
 
「何もしない」ことさえ、ひとつの選択肢として開かれている。予定を詰め込まなくていい、と素直に思える場所は、東京では実はかなり稀なことです。
 

バルコニーから、ちょうどいい距離で

ヒルトン東京お台場から有明アーバンスポーツパークまでは、タクシーで約10分。思い立ったタイミングで、無理なく訪ねられる距離です。
朝食のあとに、ホテルを出て有明へ向かう。到着すると、視界は一気にひらける。走ってもいいし、歩いてもいい。フラットな地形は、どんなペースも受け入れてくれます。あるいは夕方、光が傾く時間に合わせるのもいい。

ホテルに泊まるということは、必ずしも「ホテルに留まる」ことではありません。外に出て、風景の足元に降り、また戻ってくる。その往復が、東京という都市との距離を静かに変えていきます。

有明アーバンスポーツパーク

所在地:東京都江東区有明1-13-17
アクセス:ヒルトン東京お台場から車で約10分


 
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